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緊急事態宣言の解除、府中市美術館の開館(6/20)

 昨夜は強い雨が降って、道路も濡れたままです。

 曇天の下、空気にむっとするような熱気と湿度を感じます。

 前回の公開制作の直前に、記憶に残ることがありました。


 美術館の前庭にある若林の<地下のデイジー>。

 メンテナンスされる場面を偶然にも見させて頂く機会がありました。メンテナンスの理由は、雨水が地下に入って鉄の板の表面に錆が強く出ているからとのこと。地下で雨水を逃がすため、地下に埋められている鉄の板の周辺を掘り、溝を切った板に交換する作業を何人もの専門家が作品を囲むようにして真剣なまなざしで進めていました。

 その様子を見て、作家がすでに亡くなって不在であることを強く感じ、それでも残された作品を人々がとても大切にしている様子に、しみじみと感動を覚えました。<地下のデイジー>は、その土地に生きる人々の時間と記憶の層を考えて作られています。作家はきっと、自分が死んだその先のこと、美術館の建物もなくなって作品も錆びてぼろぼろになって土にかえる時間まで、想像したに違いありません。


 そうした時間の流れを一瞬にして感じるような出来事でした。


 コロナウィルスによる緊急事態宣言は5月25日に解除され、府中市美術館は5月末まで休館していました。そして、さまざまな対策を講じて、6月2日に開館しました。残念ながら企画展は開かれないことになってしまいましたが、常設展「東京近郊のんびり散歩 江戸時代から現代まで」が、今日は開かれています。

 長い休館のあと、訪れる人はまだ少なく、とても静かな館内。

 スリット窓シリーズの5つの木枠を並べ、点灯確認を行いました。光が灯らない箇所を見つけたら、接続を修正していきます。


 右側の机の上のノートパソコンで、光のプログラムを書き込んでいきます。


 次に、6つの木枠を壁に取りつけて、光と空間の様子を見ます。

 スリット窓以外の、部屋に備わっている照明もすべての組み合わせを試して、光がどのように見えるかを確認しました。ライトアートの背板をつけた状態ではスリットの間に見える光の面が強調されます。これまで床に置いて背板を外した状態でしたが、背面から漏れる光が部屋の壁に反射し、部屋の壁際の空間に層ができるような面白い効果がありました。また、LEDの輝度を変えると、見え方は相当違ってきます。

 

 こういった微妙な調節は、後ほど光のパターンを作る際に、時間をかけて行うことにします。


 最後に、磁性流体を使ったインスタレーションを作る準備作業を行いました。

 公開制作室の中で、正面と右側の壁にライトアートを配置していますが、新たに作る磁性流体の作品は、部屋の中央左側と、右側の2ヵ所に設置する計画です。

 

 入口から向かって左側の床面に、青いメンディングテープで、直径2mの円周となるようテープをはっていきました。この円の中央に、磁性流体のインスタレーションを作ります。

 上からのWebカメラで、青いテープが張られた床面を見ています。


 私がちょっと高所恐怖症ぎみなので、Webカメラの位置の調節は、学芸員の神山さんがやってくださいました!


 この日は土曜日であるためか、ちらほらと家族連れの方が公開制作室を見に入ってくるようになりました。小さなお子さんが部屋の中に入ってきて、光るスリット窓の桟にさわる場面も。夕方には、公開制作のパンフレットを作ってくださったデザイナーの山川さんが、娘さんと一緒に見にいらっしゃいました。


 作品を作るという作業は、この時点の現在は見えない未来をひとつひとつ実現していく中で、不安を感じるときもあります。支えられている皆さんに感謝しながら、進めていきます。


 児玉幸子

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©2020 by 府中市美術館公開制作・児玉幸子 Sachiko Kodama Open Studio @ Fuchu Art Museum

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